「PEが教えてくれた企業変革のポイント」をドラゴンボールで変換する

こんにちは。

突然ですが、こちらのPEファンドOBの山田さんのnoteはご存知ですか?

PEファンドに興味ある方は読まれた方も多いと思います。

読んでいない方は、大変勉強になりますので読んでみましょう。

激務の心得ではこれまでPEファンドをドラゴンボールで説明してきました。

そこで、山田さんのnoteで語られている企業変革のポイントもドラゴンボールで説明出来てしまうのではないかと勝手に考えました。

さすがに個人のブログを勝手に弄ってあーだこーだ言うのはちょっと気が引けますので、やってはいいものなのかなぁ、、、

こういう時は「迷ったらGO!」です。

今回は他人のnoteを題材にドラゴンボールの話をしようと思います。

オラ、ワクワクすっぞ。

企業変革のポイントは2つの視点で切り分ける

noteの中で企業変革のポイントを5つ上げています。

  1. 企業カルチャーは希薄化しやすいし、劣化もしやすい(ので大事)
  2. 企業改革は短距離走ではなく中長距離走(で臨むべき)
  3. 従業員のインセンティブは中身よりも説明が9割
  4. 改革フェーズでは横断的PJとsmall winが効く
  5. 事業計画はストーリーで作るべき

私はこの5つのポイントを2つの視点で切り分けて考えました。

  • 企業サイドの視点(1,3,4)
    • 1.企業カルチャーは希薄化しやすいし、劣化もしやすい(ので大事)
    • 3.従業員のインセンティブは中身よりも説明が9割
    • 4.改革フェーズでは横断的PJとsmall winが効く

  • 株主サイドの視点(2,5)
    • 2.企業改革は短距離走ではなく中長距離走(で臨むべき)
    • 5.事業計画はストーリーで作るべき

PEファンド、特にマジョリティーを保有するバイアウトファンド目線で企業経営を見る際には、 「事業を運営する立場での企業改革」と「株主としての企業改革」は切り分けて考えたほうがスッキリするでしょう。

そう考えると「企業カルチャー」や「従業員のインセンティブ」、「社内の横断的なPJ」といった話は企業を実際に運営している人の目線、「企業改革に対する時間軸」や「事業計画」は投資利回りを求められている株主(PEファンド)サイドの目線に分けることが出来るのではないでしょうか。

それぞれの視点で見ていきましょう。

企業視点

OSのアップデートをしよう

「企業カルチャー」や「従業員のインセンティブ・モチベーション」や「部署を超えた横断的なPJを出来る風通しの良い雰囲気」といった話は、企業運営をする上での基本ソフト、いわゆるOSです。

「会社全体を管理、制御して、役職員が会社を動かしやすく基本ルールであるOSが古くなっているから時代にあったアップデートをしましょう」と企業改革のポイントとしてnoteでは指摘しているのだろうと私は考えました。

OSは古かったとしても騙し騙し動かすことが出来ます。

iPhone11の時代であっても数世代前(iPhone4S+当時のiOSぐらい?)は(たぶん)動作します。また、最新のOSへのアップデートって意外とめんどくさくて先送りにしちゃう方、多いと思います。

趣味の世界であればそれでも良いのでしょうが、企業が戦う場所は資本主義の最前線です。

最前線で戦うためには快適に動作する最新OSであった方がいいことは間違いありません。

企業が数十年の業歴になってくるとOSの更新が滞っていることはなんとなくご理解頂ける方も多いのではないでしょうか。

OSの例えだとよくわからない???

よし、わかった。

ここでドラゴンボールの出番だ。

『ドラゴンボール』19巻より(C)鳥山明/集英社

セル編の天津飯のマインド

皆さんはこのシーンを覚えているでしょうか。

ナメック星での戦い後、フリーザが悟空に復讐するために地球にやってきます。地球でフリーザを待ち受けるベジータと遭遇した天津飯のシーンです。

『ドラゴンボール』28巻より(C)鳥山明/集英社


天津飯は、ベジータに対して嫌悪感を抱いていることが「言いたいことはくさるほどある…」というセリフからも読み取れます。

確かにサイヤ人編で天津飯も餃子もサイヤ人に殺されてしまいました。

その時のことをまだ根に持っていますね。

まぁ、生き返ったとは言え殺されたらそうなっちゃうのかもしれない。(私は殺されて生き返ったことがないので必死に想像するしかないのですが、、)

これこそがアップデート出来ていないOSなのです!

目の前に凶悪なフリーザという敵が来ようとしているのに過去の個人的な恨みをベジータにぶつけている場合ではない。

むしろ「お前たちのおかげで界王様のところに修行に行って、強くなったから前回みたいには簡単にやられないぞ!」ぐらい言ってほしいですね。

かつて自分も悟空を倒そうとイキっていたのにも関わらず!(ちなみにヤムチャは過去を受け入れてベジータと一緒に暮らしている)

逆にOSをアップデート出来ている事例も紹介しておきましょう。

『ドラゴンボール』30巻より(C)鳥山明/集英社


↑クリリンはかつて魔族に殺されたが、そんなことは1ミリも気にしていない

脱線してきたので話を戻しましょう。

PEファンドの皆様は天津飯みたいな状況に陥っている組織に対して「状況は刻一刻と変わっているのですから、頭を切り替えましょう。じゃないとかつて悟空のライバルだったけど、天津飯みたいに脇役の会社になっちゃいますよ!」と投資先の従業員に伝えているのでしょう。

これが企業サイドの視点から見た企業改革ポイントなのではないでしょうか。

株主視点1:時間軸がファンドと企業では異なる

株主視点の話は個別に考えてみましょう。

まずは、「2.企業改革は短距離走ではなく中長距離走(で臨むべき)」です。

ファンドの時間軸を押し付けてはいけない

PEファンドに限らず金融投資家は期限が有限です。(PEファンドならだいたい10年)

運用期間が10年となると投資実行までの期間を考慮すると個別の銘柄は3−5年で誰かに株式を売却する必要が出てきます。

その一方で企業で働く人達や経営陣は3−5年の時間軸で必ずしも動いてはいません。

人によっては10年後を見据えて経営されている方もいらっしゃるでしょう。

「企業改革は短距離走ではなく中長距離走(で臨むべき)」とは、「ファンドは短距離走で物事を考えがちだけど、企業改革をやろうとしたらもう少し長い時間軸で考えないと改革なんて大掛かりなことは出来ませんよ」ということでしょう。

ファンドの人達は、DD時のハイテンションを引きずったまま投資先企業の経営陣と投資後に対峙します。

ファンド側としては投資先企業の経営陣にナメられるわけにはいきません。

当然「この会社を良い会社にするんだ」オーラ全開で向き合います。

それが逆によくないのでしょう。

常にギンギンの人と一緒にいたら疲れちゃって、出来ることも出来なくなっちゃうのです。

精神と時の部屋を全員が経験しているわけじゃない

『ドラゴンボール』32巻より(C)鳥山明/集英社


ドラゴンボールで言えば、PEファンドの人達は精神と時の部屋で暮らしています。

1-2ヶ月でDDして投資契約をして数億から数十億円といった大きなお金を動かすといった無謀なスケジュールがこなせるのは精神と時の部屋の住人だからです。

同じようなレベル感を精神と時の部屋の外の人間に求めても無理です。

『ドラゴンボール』33巻より(C)鳥山明/集英社


↑こんな状態で出てきたって一般人にはなかなか受け入れられません。

仕事の優先順位が常に1位で凄まじいスピードで仕事をし、労働基準法の概念なんて持っていないプロフェッショナルの時間軸で一般人と一緒に仕事をしようとしたらうまくいくことだって行きません。

株主視点2:事業計画とはストーリー

将来を予測するためのツールじゃない

事業計画に関しては、これがすべてを表現しています。

事業計画は「将来を正確に予測するためのツール」として使われるのではなく、「企業や事業の目指すべき方向性を正確に語る」ために使われるのであると言うことだ。

PEファンドの人達が作った凄まじいエクセルシートに展開された事業計画を見たことがあるでしょうか。

見るとわかるのですが細かい。とにかく細かい。

こんなに細かくして意味あるの?っていうぐらい細かい。

「ザックリと市場は20%成長だから売上もマルっと20%成長で置いてみました」なんて言おうものなら、おっかない先輩からギャリック砲が飛んでくることは間違いないでしょう。

既におわかりだと思いますが、細かくすることが目的ではなく、「それぐらいの粒度で事業について脳みそがちぎれるぐらい考えて、経営陣以上にその事業がどうやったら良くなるのかに頭を必死に使ってストーリーを作ることが目的です。

それだけやってはじめて、企業や事業の目指すべき方向性を語ることが出来るようになります。

事業経済性と市場のトレンドを抑えたからと言ってわかった気になってはいけないわけです。

ここまで説明してもこのプロセスを経験したことが無い方には実感を持って理解することが出来ないと思います。

そんな時こそドラゴンボールの出番です。

魔封波で封じ込めるというストーリー

ドラゴンボールで目指すべき方向を明確に語っているシーンを紹介しましょう。

ピッコロ大魔王と戦う際に亀仙人が「ピッコロ大魔王を倒すんじゃなくて魔封波で封じ込める」という方向性を語りました。

『ドラゴンボール』12巻より(C)鳥山明/集英社

これこそがストーリーであり、事業計画の正体です。

しかし、これを大きく無視した人がいます。

そう、天津飯です(2回目)

『ドラゴンボール』14巻より(C)鳥山明/集英社

天津飯が魔封波を習得しピッコロ大魔王を封印する為に戦いに行くのですが、魔封波で封印する電子ジャーが割れていることに気付きます。

それを受けて天津飯はピッコロ大魔王を封印するのではなく戦って肉弾戦で倒そうとしてしまいます。

まったく事業計画を理解していません。

ストーリーが「電子ジャーに封じ込める」である限り、直前に電子ジャーの破損がみつかるような不手際はあってはなりませんし、バックアップとしてもう一つぐらい準備してもよかったでしょう。

一旦引いて、再挑戦すべきでした。

電子ジャーの修繕費と旅費交通費をケチるんじゃないよ!!

☆☆☆

そして、事業計画を「将来を正確に予測するためのツール」として誤って使ってしまうと何が起こるのでしょうか。

事業計画と異なる実績値が出てきて「故障だー」と叫ぶことになります。

『ドラゴンボール』22巻より(C)鳥山明/集英社

フリーザ軍は自分にとって都合が悪い数値が出るとすぐにスカウターの故障のせいにする残念な軍団でしたが、セル編以降は敵のレベルもあがっていき、見かけの数値に騙されることがなくなり、戦闘力という数値は使われなくなっていきました。

企業変革においては事業計画はストーリーであって、将来を正確に予測するためのツール」として使ってはいけない理由はわかりましたでしょうか。

まとめ:この解釈が本当に正しいか本人に確認したい

『ドラゴンボール』34巻より(C)鳥山明/集英社

いかがでしたでしょうか。

現役の最前線で戦っているPEファンドの人が見ている風景をわかりやすくドラゴンボールで変換してみました。

これまでにもPEファンド×ドラゴンボールの説明をしてきましたが、企業変革も説明出来てしまったのではないでしょうか。

とは言え、人が書いたnoteを勝手に私が解釈しただけであって、noteを書かれた本人に聞いたら

「はぁ?オメぇ、あたまでぇーじょーぶか?」

と聞かれちゃうかもしれません。

私も独りよがりな文章は書きたくないので、次回は山田さんに登場頂き、直接お話を聞いてみたいと思います。

以上『「PEが教えてくれた企業変革のポイント」をドラゴンボールで変換する』でした。

次回もぜってぇみてくれよな!

↓山田さんインタビュー

【PEファンド志望者必見】「PEが教えてくれた企業変革のポイント」の山田聡さんインタビュー前編
こんにちは、taikiです。前回の記事『「PEが教えてくれた企業変革のポイント」をドラゴンボールで変換する』を踏まえて、今回は、note「PEが教えてくれた企業変革のポイント」の著者でもあり、つい最近までPEファンドで働いていて今は...

PEファンドまとめに戻る

コメント

  1. […] 企業変革のポイントについてドラゴンボールの力を借りて解説しています。 […]

  2. […] 前回の記事『「PEが教えてくれた企業変革のポイント」をドラゴンボールで変換する』を踏まえて、今回は、note「PEが教えてくれた企業変革のポイント」の著者でもあり、つい最近までPE […]

タイトルとURLをコピーしました