PEファンドのハンズオン支援をドラゴンボールで解説する

こんにちは、taikiです。

『ドラゴンボール』×「PEファンド」が好きな方、お待たせしました。

今回はPEファンドが行う「ハンズオン」をドラゴンボールの力を借りて解説してみましょう。

ハンズオンというと「投資先企業に常駐して、経営陣と共に会社を経営する」みたいなことをイメージしている人がいらっしゃいますが、そもそもハンズオンという言葉自体がフワッとしていて、人によって定義が異なります。

月1回の取締役会に参加して月次の数値を見て議論することをハンズオンと呼ぶ人もいれば、実際に投資先に常駐して、売上を伸ばすような動きをすることをハンズオンと呼ぶ人もいるでしょう。

「ハンズオン」というフワッとした概念に惑わされないためにもPEファンドとは何なのかを抑えた上で、ハンズオンについて考えてみましょう。

おさらい:PEファンドはドラゴンボールで例えるなら神様

以前、「PEファンドが投資先企業に行うバリューアップをドラゴンボールで解説する」という記事で、投資先企業とPEファンドの関係をこのように例えていました。

ドラゴンボールで例えるならば、投資先企業が悟空であったとしたら、PEファンドは悟空に強くなるキッカケを与えた亀仙人、神様、界王様といった指導者的な人です。

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PEファンドは、主人公やメインキャラである悟空やベジータではありません。天上界や天界から悟空やベジータを見守り、必要に応じてサポートする神様や界王様といったキャラです。

その指導者的な神様や界王様が必要に迫られ、下界におりてきて行うサポートがまさにハンズオンです。

実際に、ドラゴンボールのストーリーの中で行われたハンズオンを見てみましょう。

界王神によるハンズオン

現場に入ったけど大混乱でフルボッコ

魔人ブウ編で界王神が下界におりてきて、悟空達とコミュニケーションをとります。

天界の住人である”チーム界王神”から見たら人間なんてすぐに死んじゃう弱くて、愚かな生き物です。

“チーム界王神”のメンバーであるキビトは、随分と上から目線で偉そうな態度で接して来ます。

『ドラゴンボール』37巻より(C)鳥山明/集英社


↑投資先企業に対して”株主様”感を出しすぎの勘違い担当者

 

“チーム界王神”は「神である我々が出ていけばなんとかなるだろう」と考えましたが、ベジータは悟空と争い始め、悟空には邪魔者扱いされ、現場は大混乱です。

『ドラゴンボール』38巻より(C)鳥山明/集英社

『ドラゴンボール』38巻より(C)鳥山明/集英社


↑邪魔だからどいてもらってていいですか?
 

『ドラゴンボール』38巻より(C)鳥山明/集英社


↑競合他社は、ライバル社のゴタゴタを目の当たりにして大喜び
 

そして界王神も自ら魔人ブウと戦いました。

結果は惨敗。フルボッコです。

『ドラゴンボール』38巻より(C)鳥山明/集英社


↑だからやめとけって

 

意気揚々と現場に乗り込んでみたものの戦力としてはまったく役に立ちませんでした。

界王神のハンズオンは失敗に終わりました。

☆☆☆

PEファンドのハイプロファイルな方々が「俺なら出来る!」と勘違いして実業にちょっかいを出そうとすると何もできずに邪魔者扱いされることでしょう。

人としてスペックが高いことと実際の現場で機能することは別です。

特にサービスや製造ラインはそれぞれの専門家がいます。そんな中に門外漢が突っ込んでいっても役に立つわけがありません。

PEファンドのDDに食品工場のライン担当者がいきなり来て「ローン契約まとめてこい!」と言われても何も出来ませんよね?

逆に、投資先企業で本当に実業をゴリゴリやろうとするとPEファンド社員の高い人件費と費用対効果の合理性を説明出来ますでしょうか。実業をやってみたいならファンド経由で行かずにそういうルートでそういう就職をしましょう。

ハンズオンは実業に憧れるファンド社員の好奇心を満たすためにチャレンジするようなものではないのです。

現場の人が動きやすい環境を整える

界王神とは言え、現場では役に立たないことに対して悟空に嫌味を言われてしまいます。

『ドラゴンボール』40巻より(C)鳥山明/集英社

しかし、さすがは界王神。自分の価値を戦いに見出すことをやめて後方支援にシフトしていきます。

瞬間移動&治癒能力で悟飯を蘇らせたり

『ドラゴンボール』39巻より(C)鳥山明/集英社

悟空やベジータが思い切って魔人ブウと戦える場として界王神界を提供しました。

『ドラゴンボール』42巻より(C)鳥山明/集英社

悟空やベジータが名一杯動けるような環境つくりに徹することによって、魔人ブウを倒すことが出来ました。

☆☆☆

人によっては、これらの界王神の支援もハンズオンという人もいれば、ハンズオフという人もいるでしょう。

呼び方はどうでもいいのですが、PEファンドが投資先に出来る支援は界王神のように現場で自らの身を削ることではなく、後方支援です。

PEファンドが投資先企業に働きかけて、現場の人達が業務に集中できるような環境を作り込む経営企画的な支援は出来ますが、それは常駐してフルタイムで時間を使わなくても十分出来ます。

神様のハンズオン

ドラゴンボールには界王神の他に、ピッコロ編で神様が天下一武道会に出てきて、ピッコロと戦うというハンズオンがあります。

最初はヤムチャと戦いました。

ヤムチャに対しては経験値の違いを見せつけ、子供扱いすることが出来ました。

『ドラゴンボール』15巻より(C)鳥山明/集英社

しかし、ピッコロに対しては見事に返り討ちにされてしまいました。ハンズオン失敗です。

『ドラゴンボール』16巻より(C)鳥山明/集英社

どう頑張っても悟空の役回りは出来ません。

せいぜいヤムチャぐらいの役割で終わります。

PEファンドはヤムチャのようにくすぶっている人材・事業を探す立場なのに、自分がヤムチャになってはいけません。

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これもハンズオンしてみたけど、役に立たずにしくじってしまった事例ですね。

ハンズオンをやりたいと言う前に考えておきたいこと

ハンズオンを具体的に定義しよう

ここまで読まれて少しは分かってきたかもしれませんが、ハンズオンという言葉は非常に曖昧です。

まず、ハンズオンという言葉を使う際には明確に何を意味しているのかを定義しておきましょう。

人によって細かい定義は異なるのでしょうが、具体的なアクションレベルに落とし込んでいくとこのあたりのどこか?

  1. 月1回取締役会に参加することがハンズオン
  2. 経営会議を設定して、アジェンダを整理することがハンズオン
  3. 投資先企業の人に変わって銀行交渉して資金繰りを見るのかハンズオン
  4. 頭を角刈りにして、厨房に入って寿司職人と対等に張り合うことがハンズオン
  5. 営業の電話を機械のようにかけてどぶ板営業するのがハンズオン
  6. 自分が経営者をやることがハンズオン

1-3あたりだと経営企画的な機能を担うことで、4-5あたりだと実際の事業にまつわるオペレーションをサポートするイメージでしょう。

また、実際に社長を行う6も広義のハンズオンでしょう。

もちろん、ハンズオンの定義は人それぞれ違っていいし、これが正解なんてものはありません。ただ、ハンズオンという言葉を使うからには自分なりに定義がないと雰囲気でそれっぽいことを言っている人になってしまいます。

俺のハンズオン
ちなみに私はハンズオンを6の「自分が経営者をやる」と定義しています。

私はPEファンドやコンサル業務を通じて、お客さんや投資先に常駐して、名刺もデスクもPCももらって仕事をしたことがあります。たぶん、世間で言うところのハンズオンなのでしょう。

それらの経験を通じて達した結論は「ハンズオンとは自分で経営者をやる」でした。(だから独立した)

そして、この結論を得るために10年以上の時間を使ってしまいました。

「本当は自分で事業をやってみたいんだけどアイデアも勇気もないので、それができそうなPEファンドで軽くやってみてから考えたい」的な発想でハンズオンしたいというのなら、今すぐ独立・起業することをオススメします。

プロの雇われ経営者を目指すというルートもありますが、なかなか簡単になれるものではありません。

それだったら、独立して自分の会社にハンズオンしましょう!

現場感とハンズオンを混同してはいけない

ちなみに、ハンズオンの話から「現場感は大事」みたいな話に反れていって、「ファミマの社長は店舗で働いた」とか「某ファンドの担当者は寿司屋の案件で厨房に立った」といった役職も給料も高そうな人が現場に自ら降りてスゴイみたいなことをおっしゃる方がいらっしゃいます。

それって、本人たちは業務改善やバリューアップのアイデアを探すという目的の為に現地調査をやっているようなもので、現場に行くこと自体が目的ではありません。

『ドラゴンボール』31巻より(C)鳥山明/集英社


↑現場にお邪魔する際には最初に目的を伝えましょう

 

「汗水たらして働く現場こそ偉い」から「現場をわかろうと自ら降りていく経営陣も偉い」という構図になっていませんかね。

自ら現場に降りていくことは手段であって、それ自体が目的になるのは違いますのでご注意ください。

界王神や神様も目的があって下界に降りてきました。

神や界王神といった立場に見合うような結果は出せませんでしたが、下界に降りてくることが目的にはなっていません。

『ドラゴンボール』38巻より(C)鳥山明/集英社


↑結果が出せなくて悔しがるPEファンドの人

ファンドで出来る唯一のハンズオンは事業再生

「ハンズオンとは自分で経営者をやること」と定義しましたが、唯一ファンドでもハンズオンが出来る案件があります。

それは事業再生です。

事業再生とは何かをドラゴンボールで解説する
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事業再生編で詳しく述べていますが、再生案件でやることはザックリ言ってしまえば、下記のプロセスに集約されています。

  • DD:再生計画策定
  • DD:資金繰り計画
  • 銀行調整
  • 投資実行
  • テコ入れ(リストラ、予実管理、経営会議の運営等)
  • スポンサー選定・売却

投資先企業の人達と強力して行えば、社長業務は管理面と資金面が中心になりますので外部の人間でもやりやすいでしょう。

期間限定にはなりますが、銀行対応とテコ入れ(リストラ、予実管理や経営会議の運営)をハンズオン(≒経営者)することは可能です。

組織的な運用が出来るようになって黒字化が見えてきて、会社として綺麗になったら次のスポンサーに引き継いでハンズオンは終了になります。

ハンズオン(≒経営者)をやってみたい、プロの経営者になりたいのであれば、事業再生は良い経験になるでしょう。

まとめ:ハンズオンがやりたいなら経営者になれ

『ドラゴンボール』17巻より(C)鳥山明/集英社

PEファンドの人達は世間一般で見たら学歴も経歴もピカピカ、頭脳明晰、社会人としても結果を出してきた選ばれし(官僚的な)神様や界王神です。

その一方で、悟空やベジータは、多くの現場を経験し、実力をつけてきた叩き上げの経営者みたいなものです。

実際に現場仕事をしたら、当然、ペーパー上の優秀さ以上に積み上げてきた経験の違いが出ます。

王道のPEファンドの方々はこのあたりをしっかりと理解していて、「餅は餅屋」として振る舞います。もちろん、あえてそこにチャレンジするPEファンドがいてもいいし、実際にいます。

しかし、ハンズオン(≒経営者)やりたいなら、自分の会社を経営するのが手っ取り早いでしょう。

逆にハンズオンの具体的なイメージもなく、なんとなく「ハンズオン」と言っていたらそれは単なるキラキラワードに翻弄されているだけですので、ご注意ください!

以上「PEファンドのハンズオン支援をドラゴンボールで解説する」でした。

オマケ1

みんなの「俺のハンズオン」

「俺のハンズオン」を語っている中で、痛烈に本質をついているなぁと思ったツイートをいくつか紹介させて頂きます。

この記事のすべてを上手に表現してくれています。1)は自分で経営者をやること、2)は目的を持って現場に入ること、3)は若い人が陥る罠!!

PEって基本はこれ。PE経験を積めば積むほどこの境地になる。ハンズオンとか言ってるうちはまだまだ青い!

ハンズオン参考図書

ハンズオンという言葉が曖昧な為、ハンズオンについて書かれた本はあまりありません。
こちらの本は事業計画の実行とモニタリングフェーズについて書かれているので、投資実行後に何をするかという観点では参考になるかな。

あと、ハンズオンで現場に入り込んでうんぬんかんぬんというのをやりたいのであれば、まずは人の心を動かすのは何かを学んだほうが良いでしょう。

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この本に関しては、解説記事もありますので合わせて参考にしてみてください。

『人を動かす』を『鬼滅の刃』でわかりやすく解説する【デール・カーネギー】
こんにちは、taikiです。 今回は、読者の方からリクエストがありましたデール・カーネギーの『人を動かす』を取り上げます。 デール・カーネギーの『人を動かす』といえば誰もが絶賛する本。この本が面白くないと言おうものなら「あら、や...

オマケ2

ここまで読んで「やっぱりハンズオンをやりたい!!」という方は、アクシスコンサルティングキャリアカーバーといった事業再生をやっているファームを確実に紹介してくれそうな転職エージェントに相談してみてください。

また、コンサル経験者に限定されてしまいますが、自分で独立したいけどどうしたらいいかわからない人は、フリーでコンサルをやるという選択肢もあります。

独立してコンサルをやるのも立派なハンズオンです。まずはそこからいろんな苦労をしてみるのも悪くないでしょう。見える景色は確実に変わりますよ。

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